食品表示の見方「どう変わる?食品表示ルール(後編)」

食品表示の見方「どう変わる?食品表示ルール(後編)」

 

「小麦粉(国内製造)」は国産小麦とは限らない!

2017年に原料原産地表示制度が始まり、経過措置期間が2022年3月末で終わったため、すでに原材料表示の主原料に産地が表示されるようになっています。
生鮮原材料は産地、加工原材料は製造地を書くルールなのですが、これが誤解を招きやすいんです。

例えばパンの主原料。「小麦」の場合は産地を書きますが「小麦粉」は製粉した場所を書くので、輸入小麦であっても「小麦粉(国内製造)」となってしまうんです。

 

この表示を見て、国産小麦のパンだと勘違いしている消費者は多いでしょうね。
北海道産小麦を使っていることを表示ではっきりさせたいメーカーは、「小麦粉(小麦(北海道産))」のように書くことも可能です。

 

食品添加物の不使用表示も変更

2022年3月には、食品添加物の不使用表示に関するガイドラインが策定されました。

容器包装に単に「無添加」とだけ記載するのは、どんな添加物が不使用なのかあいまいなので避けるべきであり、また、「化学調味料無添加」や「人工甘味料不使用」や「合成着色料不使用」のように、無添加あるいは不使用とともに、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示も好ましくないというガイドラインが示されました。メーカーは、2024年3月末までに表示の見直しが必要です。

このガイドラインは食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではなく、例えば缶コーヒーのラベルに、単に「無添加」とは書けなくなりましたが、「香料無添加」といった表記なら今後も認められるものと思います。

「人工甘味料不使用」とは書けなくなりましたが、「甘味料不使用」とは書けます。
書けますが、原材料にステビアなどの天然甘味料を使っている場合は「甘味料不使用」とは書けないですよね。

表示に惑わされないために

容器包装に「人工甘味料不使用」と書けなくなったことは、添加物に詳しくない消費者には困った事態でして、例えば原材料表示に「甘味料(スクラロース)」とある場合、このスクラロースは人工甘味料だっけ?天然甘味料だっけ?というやっかいな問題が発生するんです。

アスパルテーム、ステビア、ネオテーム、ソーマチンなどのカタカナ表記の甘味料が、人工(合成)系か?天然系か?理解していなければ区別できなくなったということです。

自分が避けたい添加物名だけでも、しっかり覚える必要がありますね。

 

中戸川 貢(なかとがわみつぐ)
・一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会 代表理事
・加工食品ジャーナリスト

食品機械メーカー、清酒メーカー、お餅メーカー、醤油メーカー勤務を経て、2009年よりNPO法人「食品と暮らしの安全基金」で、主に加工食品のミネラル成分や食品添加物「リン酸塩」を調査。2013年に独立後、食品企業の衛生指導・販売支援を行っている。また、「現代食のミネラル不足」、「食品添加物」、「調味料の選び方」について、全国各地で講演している。2021年より一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会代表理事。

 

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