管理栄養士コラムVol.1「だし」
だしとうま味の歴史
だしの起源は古く、縄文時代から始まったとされています。
その後、室町時代の文献には現代のだしに通じるものが登場し、江戸時代にはかつお節と昆布の合わせだしが広まりました。
かつお節にはイノシン酸、昆布にはグルタミン酸といううま味成分が含まれており、組み合わせるとグッとうま味が強くなります。
科学的に解明されたのは1960年代のことですが、昔の人は経験的に2つのだしを組み合わせると美味しくなることを知っていたのですね。
うまみ成分を多く含む食材
かつお節や昆布以外にも、干ししいたけにはグアニル酸、貝類にはコハク酸など、食材によって様々なうま味成分が含まれています。
・イノシン酸(かつお節、煮干し、焼きアゴ、魚介類、肉類、鶏ガラなど)
・グルタミン酸(昆布、味噌、醤油、トマト、玉ねぎ、アンチョビ、チーズ、豆、白菜、緑茶など)
・グアニル酸(干し椎茸、きのこ類など)
・コハク酸(貝類など)
近年、だしのうま味は食事療法にも活用されており、料理の美味しさを保ったまま塩分を減らすことにも役立っています。
また、シニア層における味覚障害の原因のひとつである唾液分泌低下を改善し、唾液の分泌を促進させることが出来るという報告もあります。
このようにだしは美味しさだけではなく、健康維持にも欠かせない存在なのですね。
意外と知らない?だし雑学
「かつお節の消費量が日本一多いのは沖縄県」
沖縄県(那覇市)のかつお節消費量(895g)はなんと全国平均(217g)の4倍以上!(※1)
地元のスーパーには多種多様なかつお節が並ぶ、まさにかつお節天国なんです。
沖縄の方言には「あじくーたー」という言葉があり、豚やかつお節などのうま味をたっぷり含んだ深みのある味わいのことを意味しています。
そういったことも関係しているのか、沖縄県の塩分摂取量は全国平均を大きく下回っています。
「食べ物のうま味を感じにくい人には甘党・肥満の傾向あり」
ある研究(※2)によると、うま味を感じにくい人は甘い物を求める傾向がある他、摂取エネルギーが増加しやすいといわれています。
うま味の感度を鍛えるには普段からうま味成分を摂ることが大切です!
特に昆布などのだしに含まれるグルタミン酸は、うま味の受容体を増やすことが科学的にも確認されています。
※1:総務省 家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2019年(令和元年)~2021年(令和3年)平均)参照
https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
※2:山陰労災病院第三循環器科部長・水田栄之助氏らの研究データより