食材の選び方<牛乳編>
通販であれば、かなり自然な牛乳が買えます。
たとえば岩手県の中洞牧場では、草食のウシをちゃんと草で育て、繁殖も自然交配・自然分娩・母乳哺育。24時間365日の昼夜自然放牧。 その牛乳はノンホモ低温殺菌という素晴らしいものです。
しかし、スーパーではこのような牛乳は買えないので、まずは「低温殺菌牛乳」を探してみてはいかがでしょうか?
殺菌方法による牛乳のちがい
牛乳の殺菌方法は、その温度と時間により「超高温殺菌」「高温殺菌」「低温殺菌」の3種類に大別されます。
現在、日本の市販牛乳の9割以上は、「超高温殺菌」と呼ばれる120℃~130℃で短時間2~3秒間で殺菌処理された牛乳です。
これは大量生産に向いている殺菌方法なのですが、たんぱく質が高温による熱変性を起こすのが難点です。また、生乳の風味が損なわれています。
欧米で超高温殺菌牛乳といえば、滅菌パックの容器に入れると常温で保存できるため、非常用牛乳やペット用としての位置付けにあります。
しかし日本では冷やされて普通に販売されているのが現状です。
高温殺菌・低温殺菌の牛乳
高温殺菌は72℃~75℃で15秒間での加熱、低温殺菌は65℃前後で30分間加熱します。
これらは「パスチャライズド牛乳」とも呼ばれ、腸にやさしいのが特徴です。
殺菌時の熱によるたんぱく質変性が少ないため、牛乳のたんぱく質が胃の中に入ると、胃酸や酵素ペプシンによりヨーグルトのように固まります。
その固まりが少しずつ溶けながら腸に向かい、ゆるやかに消化吸収されます。
超高温殺菌の牛乳
一方、超高温殺菌牛乳は、殺菌時の超高温によりたんぱく質が熱凝固しており、さらにホモジナイズで細分化されているため、胃で十分に固まらずそのまま腸に流れてしまいます。
腸内のpHが変動して腸内環境が悪化する可能性があります。
家で牛乳からモッツァレラチーズを作るときに、わざわざ低温殺菌牛乳を使うのは、超高温殺菌牛乳だとチーズが固まりにくいからです。
オススメの牛乳は?
ホモジナイズというのは、生乳に含まれる脂肪球を小さくする工程で、ホモジナイズしていない牛乳を「ノンホモ」といいます。
より生乳に近い風味が楽しめる牛乳です。
低温殺菌で、なおかつノンホモ牛乳であれば、さらにおすすめです。
低温殺菌牛乳の欠点は、価格が高いことと消費期限が短いこと。
しかし、牛乳好きで、腸の状態がよくない人は、牛乳をあきらめる前に、まずは「低温殺菌牛乳」に切り替えてみてください。
中戸川 貢(なかとがわみつぐ)
・一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会 代表理事
・加工食品ジャーナリスト
食品機械メーカー、清酒メーカー、お餅メーカー、醤油メーカー勤務を経て、2009年よりNPO法人「食品と暮らしの安全基金」で、主に加工食品のミネラル成分や食品添加物「リン酸塩」を調査。2013年に独立後、食品企業の衛生指導・販売支援を行っている。また、「現代食のミネラル不足」、「食品添加物」、「調味料の選び方」について、全国各地で講演している。2021年より一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会代表理事。
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