岩井先生の海のあれこれ Vol.4

岩井先生の海のあれこれ Vol.4

がんばれ!! 海の厄介者エチゼンクラゲ

異常発生で定置網漁などの漁業被害がニュースになる「エチゼンクラゲ」。

中国の黄海周辺で生まれ日本近海育ち、傘の直径2メートルで重さ200kgにもなるこの大型クラゲは、巨体に似合わず小さな動物プランクトンを餌としています。

近年の中国における経済急成長によって、黄海周辺で栄養塩類が増加し、餌となる動物プランクトンが大量に発生していることや、近年の水温上昇が異常発生の原因であると言われています。

このエチゼンクラゲは、近縁種で国内では皇室への献上品にもなっている「ビゼンクラゲ」に比べてあまり美味しくないらしく、商品価値も低いため単なる嫌なヤツで厄介者と嫌われていますが、漁師さんをはじめとした様々な人たちの努力で「クラゲのおひたし」、「クラゲのあんかけ」、「クラゲラーメン」、「クラゲあんみつ」など、多くの商品が開発されました。

最近は、「クラゲアイス」や「クラゲカプチーノ」まで登場し、有名グルメレポーターも思わず「見て~!まるで海の宝石箱や~!」と言ってしまうほどの品揃えに成功しています。

さらに、このエチゼンクラゲには、純度の高いコラーゲンネバネバ成分のムチンが多く含まれており、細菌から我々を守りながらツルツルお肌をつくってくれるとか! 

実は厄介者では無く、けっこう良いやつかも知れません。

 


岩井克巳(いわいかつみ)

・株式会社 漁師鮮度 代表取締役
・NPO法人 大阪湾沿岸域環境創造研究センター 専務理事


大学卒業後34年間、海域環境改善技術の調査・コンサルタントの仕事に携わる。
現在は、阪南市の小学校で子ども達への海洋教育を行う他、「海のゆりかご」とも呼ばれるアマモ場の再生など様々な海の環境保全活動に取り組む。

2017年より大阪府初の漁協直営のカキ小屋「波有手(ぼうで)のカキ」のオープンに協力し、カキ養殖を手掛ける。

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